韓流ドラマのような世界
シンガポールを出国して、帰りの航空券はソウル仁川経由で購入していた。トランジットの時間が半日ほどあるため、その時間で一時的に韓国に入国して観光した。
韓国は入国に事前の電子申請が必要になるが、ホテルに宿泊しないトランジットの場合はどう入力するかというと、滞在先の住所を出発する空港のターミナルの住所を入力すれば良いという情報を得たのでその通りに申請して問題なく入国できた。

漢字のようで漢字ではない何かで書かれている標識。まるでパラレルワールドのよう。
シンガポールは英語の国でなんとなく書いてある意味がわかるのだが、韓国にいると全く書いている文字がわからないので少々不安になる。やはり言葉の壁というのは大きいと実感する。
しかし韓国は日本のすぐお隣の国ということもあってか、観光地ではそれなりに日本人フレンドリーだった。空港の入出国のスタッフもなんとなく日本語で話してくれた。

そうこう考えているうちに到着したのが景福宮(キョンボックン)。1395年に創建されたソウルにある朝鮮王朝の法宮。1395年は日本で言うと室町時代、4代目将軍足利義持の頃。
入場料は3000ウォン(320円程度)だが、韓服を着ていると入場無料になるらしい。
確かに周りには韓服レンタルのお店が多かった。

ここにいる野鳥は、カササギ。日本では佐賀県を中心とした九州北部地域でしか見られない珍しいカラスの仲間。
国内の生息地は国の天然記念物に指定されているが、ユーラシア大陸・北アメリカ大陸に広く分布していて世界的に見ればさほど珍しい鳥ではない。日本にいる個体群は実は自然分布ではなく、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に、カチカチという鳴き声から「勝ちをもたらす」ということで、佐賀の鍋島軍が韓国から持ち帰った個体がルーツだと言われている。
「カチカチ」という鳴き声からカチガラスとも呼ばれる。 韓国では、까치(カッチ)と呼ばれ、吉報を運んでくれる縁起の良い鳥とされている。

早速入場する。入り口に近いエリアは人が多い。日本人観光客が過半数といった具合。
次に多いのは、意外にも東南アジアのイスラム圏の人々。そういえばシンガポールでもコンビニでは韓国のカップ麺が売っていたし、ホーカーにも韓国料理がいくつかあったので東南アジアでも韓国ブームがあるのかもしれない。

園内を歩いていると、韓国の歴史ドラマの世界の中に迷い込んだみたい。事実、私が小学生の頃に一大ブームになり私もなぜか見ていた韓ドラ「宮廷女官チャングムの誓い」の舞台がまさにこの景福宮だそうで、特に調べて行ったわけではないが不思議な縁を感じる。
ドラマの撮影は昌徳宮(チャンドックン)で行われたそうだが、チャングムに思いを馳せて韓流ドラマ感ある撮り方をしてみた。

屋根の上のシャクトリムシみたいな装飾瓦は西遊記の登場人物らしい。厄除けのためのもので、数が多い建物の方が格式が高い。

ソウルの山は日本のそれとは明らかに造形が違う。

大きな岩の塊のような山々が多く、見た目にも岩が露出している。

日本の建築に似ているようでどこか違う。屋根の曲線のRの掛け方が日本と違うのかな。

園内はかなり広く、奥に行けば行くほど人もまばらでゆっくり観察できる。

あまりの寒さに池は凍っている。ただでさえ寒い冬のソウル。しかしこの日は韓国でも最強レベルの寒波に襲われ最高気温が氷点下10度を切るという冷え具合。シンガポールの気温は30度程だったので、気温差はなんと40度以上もある。
挙句には滞在中に「寒すぎるので不要不急の外出は控えよ」というエリアメールを受信した。

韓国の歴史と現代のコントラスト。
ソウルの野鳥
ソウルで生き物探検をする予定はなかったのだが、景福宮の中にいるだけでも多くの野鳥を観察することができたので紹介する。

ジョウビタキのメスだろうか。

ハイタカと思われる猛禽類。

地面をつっつくカササギ。光に当たると羽の構造色が美しい。

適度な距離感で撮っていたのだが、なぜか「好きなだけ写真撮っていいよ」とでも言わんばかりに私に寄ってきた。この個体以外のカササギは警戒心が強くなかなか綺麗に写せなかったので、日本ではなかなかお目にかかれないカササギをこんなにも至近距離で観察することができるとは思わなかった。生き物好きの私にとってこれだけでも意義のある韓国滞在だった。
野鳥観察も含めて、景福宮には2時間ほど滞在していた。

ずっとこの気温のソウルで活動していると凍えてしまうので、空港に戻って飛行機の時間を待つことにした。あまりにもソウルが寒すぎて体が冷え切っていたのでスンドゥブを食べる。
本場韓国でキムチを食べて、本物のキムチは辛い物でもなく酸っぱい物でもなく、こんなにも旨味の強い食べ物なのかと衝撃を受けた。写真だと鍋の陰になっている小鉢はにんにくのキムチなのだが、もはや旨味の暴力。米がいくらあっても足りなかった。
11時間強の韓国滞在だったが、意外と濃い時間を過ごすことができた。


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