
今回お届けするのは毎度お馴染み、伊豆諸島の旅。
前回の航海で条件付きで出航したものの、現地海上不良により三宅島から引き返してしまった八丈島にリベンジ。
Part3は八丈島のジャングルをトレッキング、裏見ヶ滝と絶景温泉を歩く。
ヘゴシダのジャングル、裏見ヶ滝トレッキング

島の古民家カフェ、古民家喫茶中之郷で腹ごしらえをしたあと向かったのは、裏見ヶ滝。カフェからは坂を下って5分ほど。中田商店前のバス停からは10分ほどの距離になる。
裏見ヶ滝は、その名の通り滝を裏側から見えるという場所。

入り口からこれから進んでいく方面の森を見る。ここだけ見ると絶望的なまでにジャングルである。
これが日本、しかも東京都内ということが信じられない。

シダがわさわさしている道を進んでいく。雨が降ったあとだったので、滑りやすかったのだが、ちゃんと遊歩道として整備されているので、歩きにくくはない。
遊歩道は、三原山から流れる三原川の谷に沿っている。三原川の沢の流れを聞きながらのトレッキングとなる。

森の中には木生のシダ、ヘゴシダが至る所に生えている。まるでジュラシックパークの世界。茂みからラプトルが出てきても納得してしまう光景。
実際にヘゴは恐竜の時代にはすでに存在していて、草食恐竜がその葉を食べていたと言われる。
八丈島のヘゴシダは、ヘゴ自生北限地帯として、国の天然記念物に指定されている。八丈島にはガイド必須のヘゴの森遊歩道という場所があるのだが、八丈島のヘゴを少し体験するだけなら裏見ヶ滝遊歩道でも十分かもしれない。

途中、為朝神社石宮へ向かう分岐が出てくる。裏見ヶ滝へはそのまま遊歩道を進むのだが、神社に行くにはこの玉石でできた凄まじい急勾配の石段を登ることになる。
石が濡れていて滑って滑落しそうだったので、今回は断念した。携帯の電波は無く、圏外表示だったので、うっかり転んで怪我をしても助けは呼べない。
祀られている源為朝は、源頼朝・義経の叔父にあたる人物。保元の乱に敗れ、伊豆大島に流された。

さらに遊歩道を進んでいくと、再び分岐が現れる。ここの分岐はどちらに進んでも最終的には滝にたどり着くことができるが、後述するハート岩に先に行くか滝に先に行くかということになる。
写真の右上側に見える通路が先に滝に行くルート、下の橋を渡るとハート岩に先に行くルートで、橋の左上くらいに小さく写っている立看板がハート岩がある場所。
分岐から少し進むと、ジャングルの先に滝が見えてくる。

これが目的地の裏見ヶ滝。割と滝スレスレを通るので、水がかかりそうだが、勇気を出して先に進もう。

滝の全体像は滝をくぐった先の方がよく見える。

ここにもヘゴが生えている。
滝の落差は10mだそう。
滝を眺めていたら、すぐ近くにホトトギスが来て、その声を聞かせてくれた。ここのホトトギスは森中を鳴いてまわっているので、信長に殺されずに済みそうである。ホトトギスの鳴き声は特徴的で、「特許許可局」といったリズムで鳴いているのですぐわかる。

さて、滝を見たら遊歩道を引き返して帰るのではなく、そのまままっすぐ進むとハート岩という石がある。これは2022年の大雨による落石が、ハートの形に見えるという偶然生まれたスポット。

裏見ヶ滝から注いだ三原川の沢を渡り、遊歩道の分岐点に戻って、入り口まで引き返す。
裏見ヶ滝遊歩道は行きに10分、帰りに10分、滝をちょっとゆっくり見てもトータル30分くらいの所要時間で楽しめるプチ・トレッキングだった。
無料の混浴露天風呂、裏見ヶ滝温泉

ヘゴのジャングルをトレッキングしたあとは、無料の露天風呂「裏見ヶ滝温泉」に入る。
裏見ヶ滝遊歩道入り口の先にある建物が、裏見ヶ滝公衆便所、その向かい側にあるのが温泉の入り口である。

入り口のスペースが駐車場になっている。
島の方曰く、数年前までは路線バスで裏見ヶ滝まで来れたそうだ。

余談だが、八丈島はバス停だったり、ちょっとしてスポットの公衆トイレが建っているので、観光しながらでもトイレ難民にならないのは有難い。

温泉にも脱衣所はあるのだが、公衆トイレには男女別の脱衣所がある。こちらの方が広い。

温泉へは駐車場の立て看板の横の階段を少し下っていく。

階段を降りると下駄箱があり、その横に男女共用の脱衣所がある。

この脱衣所、結構狭く、男女共用なので、気になる方は先述の公衆トイレの中にある脱衣所の利用をお勧めする。

露天風呂は屋根付きなので、雨が多い八丈島でも気にせず入ることができる。実際私が入っている時も雨が降っていた。
お湯の温度は意外と高め。湯船に流れてくるお湯に触れてみたら結構熱かった。
裏見ヶ滝温泉という名前だが、温泉から見える三原川の滝は裏見ヶ滝より下流にある別の滝である。
もう一つ、絶景の温泉

裏見ヶ滝からさらに海の方向へ進んでいく。結構な坂道を下っていく。

ヤシの木に囲まれた畑。東南アジアの風景といっても信じてしまいそう。
ずっと森に囲まれているように感じるが、けっこうこんな風に畑があって、人の生活の気配を感じる。

藍ヶ江漁港が見えてきたら中之郷温泉「やすらぎの湯」がある。料金は大人300円だが、今回利用している、2日間バス乗り放題&島内の温泉入り放題の乗車券、バスパ(1000円、利用日時点)でも利用できる。足湯きらめきまではあと少し。

足湯きらめきに到着した。足湯きらめきは無料で利用できる。駐車場とトイレもある。
足湯きらめきの特徴はなんといっても太平洋が一望できる、この眺めである。
近年八丈島には冬になるとザトウクジラがやってきて、陸地からでもその姿が観察できるのだが、ここからでもクジラを見ることができるので、「クジラが見える足湯」として有名になっているスポット。
無念の欠航となった1月の橘丸の乗船も、ここからクジラを見たいというのが目的だった。

さて足湯に使ったあとは、中田商店前のバス停まで戻らなければならないのだが、かなりの坂を登ることになる。足湯の標高が21mほど、裏見ヶ滝温泉が89m、バス停が137mもある(国土地理院調べ)。1km弱の道のりで高低差が116mもある。これは、国の道路構造令により定められている道路の勾配の最大値に設定されている12%とほぼ同じ。

急な坂道だが、ガジュマルから垂れ下がる気根、ヤシの木、八丈島特有の石の積み方である玉石垣を見ながらゆっくりと登り、20分かけてなんとかバス停まで登り切ることができた。
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