【弾丸旅行記】青森県なのに異国情緒あふれる海岸、八戸・種差海岸の旅

久々の日帰り弾丸旅行。今回紹介するのは、青森県の八戸市、種差海岸で見られる異国情緒ある風景。

種差海岸ってどんなところ?

青森県の南東・八戸市の太平洋の海岸が、種差海岸。 東北新幹線の八戸駅や八戸市街地からJR八戸線を利用しても30分ほどというアクセスの良さとは裏腹に、10km以上にもなる海岸線に荒々しい磯の岩礁海岸や鳴き砂の砂浜海岸、天然の芝生地など、どこか異国情緒すら感じさせるさまざまな風景が凝縮されている。

また、650種もの植物が自生しており、季節により様々な花が見られるのも種差海岸の見どころ。夏の冷たい季節風であるヤマセの影響で、海岸のほぼ海抜ゼロ地帯でありながら高山植物も数多く見られる独特な植生となっている。

種差という地名の語源は、アイヌ語の「タンネエサシ(長い岬の意)」だといわれている。

種差海岸観光の移動にはJR鮫駅から種差海岸駅を結ぶ観光路線バス「うみねこ号」が走っているので、車がなくても楽しむことができる。うみねこ号の運賃は大人150円〜200円と観光路線というのを考えるとかなりの破格で、Suicaなどの交通系ICカードも利用できた。

うみねこ号は春から秋は毎日運行しているが、冬は土日祝のみの運行になるので注意が必要。

三万羽のウミネコが集まる、蕪島神社

種差海岸の旅でまず最初に向かったのは、種差海岸の玄関口でもある、3万羽のウミネコが集まる蕪島。八戸市街から八戸線に揺られて30分ほどで、鮫駅に到着する。列車から駅のホームに降り立った時点で、すでにウミネコの鳴き声が聞こえてくる。

駅前にはサメのオブジェがある。鮫駅から蕪島は1kmほどと、歩いても行ける距離。少しでも楽したいという方は、先述の観光路線バス「うみねこ号」も利用できる。

八戸線はディーゼルカーが走るローカル線だが、周辺には高校が多いみたいで通学の時間帯は高頻度で列車が運転されている。鮫駅で列車を降りて蕪島へ向かっていると、すぐ次の列車が走っていった。

鮫駅から蕪島へ歩いてる間にも、どこかからウミネコのミャーミャーという鳴き声が聞こえている。

ウミネコの鳴き声が増えてきて、鮫漁港が出てくると周囲の様子が明らかに一変。

漁港の向こう側に見える鳥居のある丘に夥しい数の白い物体蠢いているのが見えてくる。小さく見えている白い点々一つ一つがウミネコである。

もちろん漁船もウミネコが占拠している。

神社は完全にウミネコに占拠されている。

神社に参拝するには、このウミネコの中に入っていかなければならない。

神社の近くにいるだけでもウミネコが頭のすぐ近くを掠めていく。ウミネコは翼を広げると120〜130cmもあり、これだけでも結構な恐怖体験なので、神社に入るのは流石に躊躇してしまった。
子育て中だしあまり近くによるのも悪いし。当のウミネコたちはあまり人間を気に留めてる様子は見られなかったが。

海外からの観光客も数名来ていたが、この圧倒的なウミネコを目の前にして、呆然と立ち尽くしていたのが印象的だった。

ちなみに参拝する時は、ウミネコのフンが雨のように降ってくるので、ビニール傘が借りられるらしいので、チャレンジ精神旺盛な方はぜひ神社まで登ってほしい。株価や、人望の”株”が上がるといったご利益があるようだ。

蕪島のすぐ横はビーチになっているので、ここで潮騒を聴きながら遠巻きに観察するのがおすすめ。

蕪島はもともとは名前の通り本土とは離れた島だったが、昭和17年に旧日本海軍によって埋め立てられ陸続きになった。このビーチもその時にできたものだろう。

ヨーロッパの絶海の孤島です。といっても信じてしまいそうな光景。日本には他にもウミネコの繁殖地は存在するが、そのほとんどが断崖絶壁だったりと人が寄りつかない場所なので、蕪島のように人々の生活のすぐ近くで営巣の様子を観察できるのは他にない特徴。

毎年春頃に3万羽ものウミネコが蕪島に集結、産卵・子育てをして7月末から8月ごろに巣立って各地へ散っていく。国の天然記念物と環境省の残したい”日本の音風景100選”に指定されている。

もちろんビーチにも多くのウミネコが休んでいるので、お互いに適度な距離感を保ちつつ。

ちなみに白いカモメが親カモメ、黒い子たちはここで生まれたベビーカモメたちである。

訪れたのは7月上旬なので、もう体の大きさは親鳥と変わらないくらい。あと一月もしないで旅立ちの時を迎える。

砂浜には大量のウミネコの足跡が残っていた。

海沿いを歩く、みちのく潮風トレイル

さて、蕪島を後にして種差海岸を進んでいく。八戸から太平洋沿いを進んで、リアス式の三陸を通り抜け、福島県相馬までを「みちのく潮風トレイル」と呼ばれている。

次に目指すのは、芦毛崎展望台。蕪島からは2.5kmで、歩くと30~40分ほど。もちろんここも「うみねこ号」を利用することができる。

歩けるのだが、歩道はないので車には注意が必要。といってもそこまで交通量が多いわけでもなかった。

海岸線を進む区間は景色が開けて開放感がある。気温は高いのだが、ひんやりとした風が海から吹いてくると心地よい。これがヤマセなのか。

途中鮫角灯台と、マイルストーンがある。

マイルストーンは、新造船の速度を計測するためのもので、5本のマイルストーンの船からの見え方と時間で速度を割り出すもの。結構古いものだそうで、一時期これが何のためのものなのかが分からず議論になっていたらしい。

中世ヨーロッパの要塞?芦毛崎展望台

芦毛崎展望台は、中世ヨーロッパの要塞のような見た目をしていると言われる場所だが、実際に太平洋戦争中は旧日本軍が太平洋を監視する目的で使っていた場所。

現在は展望台となっていて、360度太平洋と種差海岸の絶景を見ることができる。太平洋の平和に感謝。

展望台からは先ほどのマイルストーンと鮫角灯台も見えている。

写真奥に写っている大型船は、八戸港を出港し北海道を目指すフェリー、シルバープリンセスだろうか。

引きで見ると本当に日本じゃない、まるで北欧方面のような風景。だがしかし、ここは青森県である。

展望台の駐車場にはホロンバイルというお店があり、ここのソフトクリームは青森三大ソフトクリームに数えられている。ソフトクリームの味はかなり種類があり、ダブルにすれば色々な組み合わせでも楽しめる。

ちなみに、ホロンバイルとはモンゴル語で”広大な”という意味だそうだ。

店内で飲食もできるのだが、外にはベンチがあるので、広大な太平洋の絶景を涼しい海風にあたりながら食べるのもおすすめしたい。

海岸方面に遊歩道があり、数多くの花が咲き乱れ、花の渚と呼ばれている。

種差海岸に自生する植物は650種に上ると言われていて、ハマヒルガオ・スカシユリなどの海浜植物、ニッコウキスゲ・ノハナショウブなどの高山植物が一緒に咲いているという独特の植生になっている。

今回は行かなかったが、この先には鳴き砂の浜、大須賀海岸もある。

崖に咲いていたスカシユリ。

緑の海岸線・天然芝生地

最後に、芦毛崎展望台から「うみねこ号」に乗って天然芝生地へ向かった。

芦毛崎からはハイキングコースもあり、およそ5kmの道のりになっている。時間と体力に余裕のある方は、ゆっくり歩いて海の景色を楽しむのもいいだろう。

バスの終点はJRの種差海岸駅だが、その手前の種差海岸インフォメーションセンターで下車。

種差海岸インフォメーションセンターには、休憩所やトイレやカフェ・売店などがあり、周辺にも飲食店などがある。

カフェではレンタルのレジャーシートもあるので、テイクアウトして海風に吹かれながら天然の芝生でピクニックもできる。

インフォメーションセンターは東日本大震災後の復興の一環で設置された施設なので新しいだが、周辺の施設はレトロな雰囲気。

のんびりとした時間が流れる穏やかな場所だった。

この芝生は人の手によって植えられたものではなく、その名の通り天然の芝生。海岸線まで緑に覆われた風景はかなり珍しい。

ちょうど訪問した日が芝刈りの日だったので、刈りたてほやほやの芝生。

蕪島からはすでに8kmほど離れているはずだが、やはりここにもウミネコの姿があった。

蕪島から芝生地までを駆け足で巡ってしまったが、さまざまな種差を楽しめるので一日かけてゆっくりと巡ったほうが良かったかもしれない。レンタカーで巡っている方も多かったが、遊歩道もあり、八戸線と、路線バス「うみねこ号」も使いやすいので、車がなくても十分に楽しめる。

最後に、八戸駅には「いかめしや烹鱗」という青森グルメが食べられるレストランで、新幹線に乗って東京に帰る前にも青森を堪能した。

種差海岸は東北新幹線八戸駅からも行きやすい場所なので、東京から日帰りで足を伸ばして楽しむのにもちょうど良い場所だと思うので、次の休みに日帰り旅行先を探している方は、青森・八戸も検討してみてはいかがだろうか。

YouTube・旅行先で集める環境音シリーズ

旅行先で集める環境音シリーズ。

海岸に打ち付ける波の音を掻き消すように聞こえてくる、夥しい数のウミネコの鳴き声。

旅行先で集める環境音シリーズとは

旅先で収録してきた現地の音。 写真だけでは感じることができない、旅先のリアルな空気感を記録できる手段の一つが”音”。 私が撮ってきた写真や動画と合わせて、私が旅してきた土地の雰囲気を体感できます。 旅行している気分になりたい時にお勧め。

収録機材
・録音:Zoom H1essential
・動画:Sony VLOGCAM ZV-1
・画像:Sony α7ii

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