都心から近いローカル線
旅の始まりは五井駅から。千葉駅からは内房線で20分ほど。
東京都心から一番近いローカル線の一つと言えるでしょう。
JRの連絡通路にある簡易改札でSuicaの精算をしてから、きっぷを券売機で購入。
券売機は道の駅の食堂とかにありがちな食券を買うようなやつ。
1日乗車券は大人1840円でした。
駅には車両基地が隣接しており、レトロな車両が休んでいます。
電気で走る電車ではなく、ディーゼルエンジンを回して走る気動車になります。
一番古い車は昭和36年という、なんと東海道新幹線が開業する前から走っています。
そんなレトロな汽車に揺られて秋を探しに行きます。
何もない駅で途中下車
最初に降りた駅は上総三又駅。
屋根のないホームにベンチが置かれているだけの簡素な駅でした。
特に目的があって降りたわけではないのですが、駅の周りにあるのは住宅と田んぼだけでした。
次の列車まで時間があるので、上総山田駅まで歩きました。大体30分くらい。
もちろん自動改札機はありません。
ホーム上にはコスモスが咲いていました。
先に五井行きの列車が来ました。ここは上りと下りが分かれた行き違いのできるちょっと立派な駅。
次に来た下り列車は上総牛久止まりだったので終点まで乗ります。
上総牛久駅は沿線でも最も栄えていて、駅の規模も大きめ。
小湊鐵道の列車の半分ほどはこの上総牛久で折り返してしまいます。
この先に進むには、次の列車を待つ必要があります。
駅から少し歩いた国道沿いにマクドナルドがあったのでそこで時間を潰せました。
イチョウの駅
上総牛久までは、沿線に住宅地が点在しているのですが、ここから先は少しずつ住宅も減っていきます。そして秋色も深まっていきます。
目的地はイチョウの駅、上総久保駅。
上総久保駅は、駅の横に大きなイチョウの木があるので、小湊鐵道の列車とイチョウを写せる写真スポットです。ホームにはイチョウの葉が降り積もって、黄色い絨毯のようになっていました。
次の列車が来るまでかなり時間があるので、駅から離れて秋の里山を歩いてみました。
道路と農地を区切る柵が延々と続いていました。
田んぼと山の境界。
秋色に染まる里山に軽トラという、農村らしい一枚。
山と雑木林と田んぼだけがある、のんびりとした里山の雰囲気を感じながら、再び上総久保駅へ戻っていきます。
駅前では、落葉したイチョウが、傾き始めた秋の夕日を受けて風に踊っていました。
西日を受けてイチョウの木と並ぶ小湊鐵道。
次の列車を待っている間、駅の清掃にきた小湊鉄道の社員の方が、「上総大久保駅のイチョウもオススメ」とおっしゃっていました。
西に傾いた陽の光を浴びて、イチョウの絨毯に列車が滑り込んできました。
次に向かうのは、上り列車で一つ戻った上総鶴舞駅。
上総鶴舞も駅前に立派ないちょうの木があります。
テレビなどのロケもされる、絵に書いたかのような”ローカル線の田舎の駅”。
ボンネットバスがやってきても違和感のない雰囲気です。
小湊鐵道は五井からなんとなく国道297号線に沿った場所を走っていますが、上総鶴舞から先の区間は国道から離れて少しずつ山深くなっていきます。
大正14年の開業当時の姿のままのレトロな駅舎の前には、やはり黄色いイチョウの絨毯が広がっています。
柔らかな西日が差し込む、レトロな待合室で今度は下り列車を待ちます。
先に来た上り列車を見送りました。
終点・養老渓谷へ向けて
上総鶴舞駅を出発した列車の車窓には、すすきの穂が流れていきました。
田んぼの広がる平地を走っていた列車は次第に山の中に入っていき、トンネルや鉄橋が増えて来た頃には、だいぶ日も傾き、車窓は薄暗くなっていました。
先程聞いていた”上総大久保駅のイチョウ”。車窓から楽しみました。
上総大久保の次は終点の養老渓谷となります。
本来は、もう一つ先の上総中野駅まであるのですが、災害による不通のため列車代行のバスが出ていました。
養老渓谷も千葉の有名な紅葉スポットで、小湊鐵道でも五井と養老渓谷を往復する切符が発売されています。またいつか、渓谷ハイキングもしてみたい。
夜汽車旅
すっかり暗くなった駅で五井までの折り返し列車の発車を待ちます。
養老渓谷から五井までは乗り通すと1時間20分ほど。暗くなった里山を車窓から漏れる列車の灯りが照らしながら走る、夜汽車のような旅のラストスパートでした。
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